SL蟹杯 全体順位発表とガチ審査員評
こんばんは。
開催から2週間が経ち、無事フォトコンテストを終わらせることができました。
36名の参加者の方々、投票してくれた方々、お題を提供してくれた方、特に何もしてない方々、そして12名の審査員の方々、ご協力本当にありがとうございました。
まず、コンテストの順位についてはTwitterで発表したとおりですが
改めてそれも振り返りつつ全ての順位を掲載します。
以下、3記事に渡り頂いた感想等を発表しますのでお付き合いください。
それでは結果を発表していきます。(この先参加者名すべて敬称略)
🏆グランプリ🏆
エントリーナンバー30番
『モンキービジネス』 /琴乃宮 雪
2位
エントリーナンバー36番
『蟹も前向きになるビーチ』 /インドネシアの悪霊
3位
エントリーナンバー29番
『かにぱん』 /ぱヴぇたん
佳作
エントリーナンバー26番
『かにみそ食べる3分前』 /たこ
エントリーナンバー3番
『蟹倉庫』 /magnum yoshikawa
エントリーナンバー21番
『ひまわり』 /ファン沢ゴホみ
以上の6枚です。どれも素晴らしい力作ですね!!!!!
ではここからは審査員ごとの順位を発表したいと思います。
NP 氏 (クリエイター)
Adobe社クリエイティブマネージャー
神奈川県某美術館アーカイブディレクター
慶應義塾大学SFC美術映像記録協力
ArtDesign研究所講師
第1位
『蟹も前向きになるビーチ』 /インドネシアの悪霊
非常にポジティブなメッセージがある作品であり、そのポジティブさを示すための記号が画面にふんだんに散りばめられています。
特にライティングにこだわった作品であると感じました。陰影を見るに、おそらく彼女ら(彼ら)が向かおうとしているビーチは東側にあり、今まさに太陽が登りはじめているという状況であると思えます。光の刺す方向へみんなで行こうという”明るさ”(光の明るさ、人生の明るさ)がダブルミーニングになっています。
そしてカニが横向きでなく前向きに歩いていく、いつもハッピーアワーと書かれている看板など、周辺物が希望に満ちた主人公の人生を表現することに成功しています。
セカンドライフは理想的な人生の創造であり、この写真はその理想的な人生を作り上げていると思え、まさにセカンドライフフォトコンテストにふさわしい内容であると思います。
第2位
『かにぱん』 /ぱヴぇたん
女の子がふとビーチに腰かけたら砂の中にカニがいて襲われているという状況を近くにいた友人が撮影した、というストーリーを想像しました。
まず視線を奪われるのが女性のプロポーションです。お尻、胸元、目、脇、髪、髪飾り、口、手、足、足の裏と視線がダイナミックに誘導される仕掛けになっています。
画面のカラーリングも素晴らしい仕掛けになっています。海の青さ、空の青さや白さが主人公である女性のパーソナルカラーになっています。それに対するカニ、パラソル、浮き輪、鉄塔など赤い物が配置されています。青や白は「穏やかさ」や「清純」を表す記号として機能し、赤は「事故」や「恥」を表す記号となっているように思えます(傾いた鉄塔=災害、浮き輪=海難事故、パラソル=恋人、カニ=悪戯)。この色の意味的な対比が見事で、安堵が一瞬でパニックになる瞬間を助長しています。
また一見お尻の割れ目だけに目が奪われそうになる画面において、そのような単純な欲望を否定するように背景に視線を分散させる画面構成のバランス意図が作者にあると感じました。
真っ”白”な肌の女の子が頬を”赤”らめるという今日の出来事は、撮影した友人の素敵な思い出であり、また10年先までいじられる彼女の黒歴史とになったのは言うまでもありません。半ケツさらしてもBANしないセカンドライフ運営に感謝。
第3位
『蟹倉庫』 /magnum yoshikawa
倉庫作業をするカニとそれを俯瞰する女性キャラクターの関係がうまく表現されている作品です。カニがフォークリフトを操作してクッションを整理している、というシュールな可愛さが伝わってきます。この様子を興味深そうに眺める女性キャラクターの興奮がそのまま作品鑑賞者の気持ちに重なるという点がユニークな画面を作っています。カニにフォークリフトで作業させるゲームがスマホアプリであったら面白そうだなと思いました。
「現場猫」ならぬ「現場蟹」ということで、近年の流行ネタに寄せているという点が抜け目ないですね。
全体の感想
今回はこのような大役を任せていただきありがとうござました。
今回の選出基準としては「好みである」と言ってしまえばそれまでなのですが、それだけでは審査と言えないのではないかと思い「多面的な視点で鑑賞できる作品」という考えで選出いたしました。「多面的な視点」とは、1位の作品に関してはセカンドライフというメディアそのものに言及できる内容であること、2位については中央の強烈な女の子のみならず別視点でも語れる魅力があること、3位については時事ネタ的にセカンドライフ外の事象を取り込んでいることです。
1位から3位を選んでほしいということで3つしか挙げられませんでしたが他にもいいものがたくさんありました。セカンドライフのフォトコンテストは奥が深い・・・これからも楽しい企画を期待しています。
デザインアソビ 氏 (デザイナー)
京都造形芸術大学卒業。
サンスター文具 文房具アイデアコンテスト グランプリ
AMUSE ART JAM 2007ベネッセ グランプリ
など数々の受賞歴を持ち、
WBS、がっちりマンデー、おはよう日本などのテレビ番組にも出演。
第1位
『かにぱん』 /ぱヴぇたん
好みです。というのは冗談で、ビーチや水着、ビーチサンダル、砂浜などのシーンの中でカニに躍動感があり、テーマを小さく扱っているように見えて、もっとも目の行くポイントにおいていることが素晴らしいと思います。水辺やビーチの作品は他にもありましたが、カニである必然性がGOODです。
第2位
『蟹も前向きになるビーチ』 /インドネシアの悪霊
このテーマ【蟹】であることを活かせているか?という視点で考えた際にパット見た時に蟹に関係がないように見えて、タイトルと絡めて【向き】に注目した視点が良いと思いました。カラバリもうまく活用されており、クッションのさり気なさや、ビーチの看板・くくられた荷物などにもこだわりを感じました。看板と蟹のいち的に、蟹を潰さずビーチにたどり着けなさそうなのもクスリとしました。
第3位
『La Escena de la ventana』 /夢前
テーマを逆手にとりつつ、用意された色に注目していますね!一見とてもこだわってクールにまとめられている写真としてのかっこよさやストーリー感に潜む、シャレのような発想の面白さと、テーマのあるコンテストであるからこそ「探してしまう」部分に面白さを感じます。
基本的に全体に共通する評価ポイントとして、「他の素材に置き換えた時に成り立たない」ということを重要ポイントとして捉えました。
水那しえ 氏 (イラストレーター)
嵯峨美術大学 芸術学部卒業。
デザイン、映像制作、アナログ作家としても幅広く活動中。
グループ展を企画・主催・運営なども行い、
2018年には自身の個展も開催。
第1位
『モンキービジネス』 /琴乃宮 雪
さるかに合戦のストーリーが表現されているのが面白いなと思いました。
子蟹の色が赤じゃなかったり、子蟹と目が合っていたり、
牡蠣が大きかったりするところなどの表現が
とても細かくてストーリー性を感じました。
猿の尻尾が上向きなのもかわいいなと思いました!
全体的な構図がとても絵になっていて、
色合いもまとまっていて素敵です。
第2位
『サマ蟹』 /なぎ
カニがうまく溶け込んでいてかわいいです。
画面の構図がきれいだなと思いました。
全体的に色合いがまとまっていて綺麗です。
女の子のポーズや表情、衣装も可愛くて個人的に好みです。
八重歯もかわいいです!
第3位
『ひまわり』 /ファン沢ゴホみ
みた瞬間おもわず笑ってしまいました。
カニを使って花を表現するという発想が面白くて好きです!
色合いも二色でまとまっていて、おしゃれだなと思い
とても目を引きました。
大小様々な大きさのカニがたくさんいるところや、
落ちてるカニがひっくり返っているのも動きがあって面白いです。
みかどさん 氏 (Second Life プレイヤー)
SLお役立ちブログ「みかどのにっき」運営
卓越したSS技術により支持を得る。
第1位
『モンキービジネス』 /琴乃宮 雪
まずはひと目に訴求力のある画に惹かれました。こういった整った構図は大好きです。
あくまでお題であるアイテムを主軸に、タイトルや小物使いから「さるかに合戦」をモチーフとしていることがしっかりと見て取れます。
日本を彷彿とさせる紅白の配色に加え、柿色もよい差し色になっているかと思います。
また、柿と視覚的な点対称の位置に小さな青い蟹が配置されている点にも作者のこだわりを感じます。
以上、1枚の中のストーリーテリングぢからから1位とさせていただきました。
第2位
『蟹倉庫』 /magnum yoshikawa
お題アイテムのひとつであるクッションを、あえてクッションとして使わない柔軟な発想は大事ですよね。
観る人に「これは何なのか」を簡潔に伝えることが静画表現における要であり難しさだと思っていますが、
この作品では小物使いから倉庫ないしは工場であることが想像でき、
人物の配置からこれがミニチュア・ヴィネット的な表現であることが見て取れるよう構成されているため、
視覚情報量が多いようでいて非常に親切でわかりやすい作品なのではないかなと思います。
以上、技巧的な面から2位とさせていただきました。
第3位
『ひまわり』 /ファン沢ゴホみ
ビビッドな黄色がひときわ目を引く静物画。
お題であるアイテムを主役に据えつつ、少ない情報量でオマージュがきちんと成立しています。
実は投稿作品中もっとも低い解像度ながら、そこから醸し出される他作品には類を見ないLo-Poly・Lo-Fiな雰囲気が僕は好きです。
以上、アイデア・発想力の面から3位とさせていただきました。
田舎娘 氏 (Second Life プレイヤー)
田舎王国領主。
第1回さらこ杯 優勝
第1位
『かにみそ食べる3分前』 /たこ
構図や色合いがうまく調和していて、且つ柔らかい雰囲気で良いと思います。見てスッと入って来る感じがしました。
第2位
『ひまわり』 /ファン沢ゴホみ
蟹の幾何がひまわりに似ていることに気づき、さらにひまわりからゴッホを連想するセンスがとても素敵です。
第3位
『侵略』 /みてれや
井の中の蛙ならぬバケツの中の蟹を脱却して侵略に向かおう、という力強い想いを感じられる作品でした。右側の空白も、外界へ飛び出そうとしている様子を有効に表せていて良いと思いました。
ゆーきく 氏 (Second Life プレイヤー)
フォトコンテスト with 蟹沢はさみ 優勝
第1回即興フォトコンテスト 優勝
P-1グランプリ 2019 優勝
第2回即興フォトコンテスト ~ハロウィン編~ 準優勝
第7回言うこと聞きそうな名前の人選手権 グランプリ
第1位
『モンキービジネス』 /琴乃宮 雪
まずタイトルに非常にそそられます。小洒落てて好きです。
親ガニを大量虐殺された子蟹の哀愁漂う、無常な雰囲気もとてもよい。
しかしこのとんでもないド畜生の猿も、やはりこのあと栗で火傷を負いハチに刺され馬糞で転んで石臼に潰されてしまうのでしょうか…。
第2位
『地球意思』 /まーだ
地球とは蟹であり、そしてその意思は我々すべてを包み込む大いなる愛そのものなのですね。
気がつけば何故か涙が頬に伝わっていました。とても深いです。
母なる蟹に感謝を込めて…。みなさんも蟹を讃えましょう。
第3位
『蟹倉庫』 /magnum yoshikawa
クッションを資材に見せるという着眼点に思わず目からウロコが落ちました。
そしてただひたすらに黙って観察していたい愛らしさ。ウチにもこのキットを置きたいくらいです。
可愛ければとにかくヨシ!
以上ガチ審査員6名の評価でした。
ご協力ありがとうございます。
特別&一般審査員の順位は次の記事に続きます。